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ゴールデンギリシャガメ (テレストリスギリシャリクガメ) ― “Golden Greek” Tortoise ― Testudo graeca terrestris ― ダレル セネーク
(Translated by Yasunori Tanaka)
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This care sheet in:
“Golden Greek” Tortoise
-
Testudo graeca terrestris
/ Testudo graeca floweri
- Darrell
Senneke
Tortuga “Griega Dorada”
-
Testudo graeca terrestris
/ Testudo graeca floweri
-
Darrell Senneke
「中東のリクガメ……の中に見られる、形態的な変異」 と、Jarmo Paralaがリクガメ(Testudo)類に関する国際学会で述べました。それは 2001年3月7日~10日の間続けられ、78~108ページで、彼はテレストリスギリシャリクガメをT. terrestrisという一つの全くの独立種に引き上げ、そして中東のギリシャリクガメT. graecaを8つの種に分け「ゴールデンギリシャガメ」というのを、それら8種全ての混称としています。
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Lebanese Golden Greek (レバノンギリシャガメ)
Jordanian Golden Greek (ヨルダンギリシャガメ)
“Dwarf” Greek Tortoise (「ドワーフ」ギリシャリクガメ)
“Dwarf” Golden Greek (「ドワーフ」ギリシャガメ)
Syrian Golden Greek (シリアギリシャガメ)
"Terrestris" (「テレストリス」)
(訳者注 ・ 「ドワーフ」は「小さい」の意味)
Hatchling Levantine T. graeca produced by Mike Lowe - Aug, 2003
このケアーシートは一般的な飼育方法です。ベストな飼育方法を確立するためには、これからの研究が不可欠です。
2001年の夏、新しいリクガメがアメリカの市場に見られることになりました。それはTestudo(ヨーロッパリクガメ)属の何らかの種であることは明らかでした。種を分類する際、人が「細分派」であるか「統合派」であるかによって、それが種としてのギリシャリクガメ(Testudo graeca)か、イベラギリシャリクガメ(Testudo graeca ibera - 原文注1)であると、また分類学者の選び方によっても、テレストリスギリシャリクガメ(Testudo graeca terrestris)かフラワーギリシャリクガメ(Testudo graeca floweri)であることを示すものでした(訳者注・それほど種の特定があいまいでした)。言い換えれば、甲羅がとても明るい色であることと、標本では暗めの色をした皮膚に、頭部がはっきりと現れていること以外は、このカメについてほとんど知られていませんでした。しかしやがて「ゴールデンギリシャガメ」として市場に知られるようになっていました。これらのカメが分類学者によって調査され、それら発見されたものが専門家により調査されるまでは、そのゴールデンギリシャガメの、実際の種や亜種をどのように位置づけるかは、最も後々まで疑問に残りそうです。
分類学者による最初の調査では、それがまず、テレストリスギリシャリクガメ(Testudo
graeca terrestris)という種類であろうと同定されています。このことは、レバノンやヨルダンの元々の生息地から、早期からの船積み、そして他者による押収から得られた、地元の確かな調査資料によっても確認されています。
それらは古くからのアフリカ北部産のギリシャリクガメ(Testudo graeca)のタイプではありません。それらの多くが、ギリシャリクガメの典型的な頭部や色のより明るい皮膚を共にしてはいましたが、そのことは形態学で言う甲羅(特に第一椎甲板と縁甲板において)、そして頭部が全く似ていないと、人々が考えることになるかもしれません。このカメが最初に輸入されたことは、典型的なTestudo ibera (亜種ではなく、種としてのイベラギリシャリクガメ)とまるまる同じほどの大きさの標本をも含めることによって、またこのカメの、特徴的な色彩の、大いに対照的なカメたち( T. ibera anamurensis、前記種としてのイベラギリシャリクガメの亜種)を含めて、このカメをめぐる議論がますます混乱しました。
このことは、次の事柄のほんのすぐ後でした。それは、引き続きこれらのカメが輸入され到着し、ひと所に集められることで、それらのカメが時々「ドワーフギリシャガメ」であるとか「ドワーフゴールデンギリシャガメ」と呼ばれていた時期に、それらが成体の大きさに達するまで、輸入された見本の個体がだんだん着実に小さくなっていくということを推測したので、それらのカメの出身地を特定するのが、さらに難しくなったということです。これらの「ドワーフ」がつく個体の多くは、種としてのイベラギリシャリクガメの色彩をより特徴的な色合いを持っており、また全ての種が大きな「ゴールデンギリシャガメ」の個体と、基本的な形態の点で同じものを有しています。これらのカメを、種としてのイベラギリシャリクガメの、単なる色彩、また大きさが違っている変異種だと認識することにより、多くの個体が、我々が古くからずっと見てきたMediterranean Spur Thigh Tortoise (訳者注 ・ この英語は日本では単に「ギリシャリクガメ」を表わすことが多いようですが、もっと厳密に、その中のある亜種を意味する場合もあるようです)にも認められていた方法での飼育につながるようになりました。しかしそうするのは、致死的な結果を引き起こすほどの誤りです。彼らの中には、「ゴールデン」のような色やパターンを得ないものの、一般的には色合いが非常に似ている、種としてのイベラギリシャリクガメ(Testudo ibera - 原文注2)も見られます。しかしゴールデンギリシャガメの飼育とイベラギリシャリクガメのそれとは、全く異なっています。
それらのカメの、明るい色彩が示すように、ゴールデンギリシャガメは砂の多い地域が原産地であるらしく、その度合いはエジプトリクガメ(Testudo kleinmanni)と同じくらいでしょう。そんな地域で黒っぽい色に進化したとしたら、そのカメが捕食者の犠牲になりやすかったでしょう。付け加えて、より明るい色合いは、季節的に気温が高くなる所にいたことを示唆しています。そこでは暗い色だったら、望まない暑さにまいっていたでしょう。
飼育環境
:
ゴールデンギリシャガメを飼うには、乾いていて暖かく、湿度の低い環境にすることが必須です。このことは、飼育環境を準備するときに、考慮に入れられなければなりません。たとえ暖かくても、じめじめした環境にさらされると、これらのカメの多くがURTD(上気道疾患)にかかり、急に衰えます。屋外での飼育は、(他の)リクガメのほとんどの種に反応が良く、はるかに元気でいますが、この(ゴールデンギリシャガメという)変種は、湿度の低い地域でないならば、屋内で過ごさせるのが好ましいでしょう。ゴールデンギリシャガメは表土や草むらの下に、自分の体を埋める傾向があり、飼育が屋内であっても屋外であっても、この隠れる能力が同じように現れるものです。
ゴールデンギリシャガメの屋内飼育 : ゴールデンギリシャガメの最も便利な飼育環境は、「タートルテーブル」型のものです。(ここを参照してください : How to Build an Indoor Land Turtle Table by David T. Kirkpatrick PhD) 見た目は本棚を後ろ向けに倒したように見えます。子ガメには60cm × 90cmが適当な広さになります。カメたちが大きくなってきたら、その飼育面積も大きくしなければなりません。ゴールデンギリシャガメの成体で、15cmかそれ以上の大きさのものを屋内で飼育している場合は、少なくとも120cm × 60cm の面積が必要です。「タートルテーブル」の底に穴をあけてもいいです。そうして餌でも水でも、寝床の入れ物までをも入れていいでしょう。その表面と同じ高さに沈み、カメにとっては近づきやすくなります。
飼育場の中の水を入れる皿は、飼っているリクガメが、望んでいるなら体が浸せるくらい、十分に大きくなければなりません。また同時に、溺れないほど十分に浅くなければなりません。小さな写真現像用のトレイは、この用途にちょうど良いです。その環境に、乾燥した床材として、干し草(干した牧草)を使うと、実に見事なものになります。干し草は、補助的な食べ物になることがあるだけでなく、湿気のこもらない隠れ家になることもあります。これの代わりにきれいな砂と混ぜた床材を用いてもいいいのですが、土や砂を混ぜたものが、床材として駄目になってきても、見た目にわかることはないので、それを定期的に入れ替えるというスケジュールを立てる必要がある点に、注意しましょう。
金物屋にあるような、反射板のついたクリップ式のランプがありますが、それを飼育場の一角に取り付けて、人工的な甲羅干しの設備を設けてやりましょう。飼育場のその場所が、摂氏35度かそこらの甲羅干しのスポットになるようにセットしましょう。飼育場には他に、UVB(中波長紫外線)をカメに与える為に、フルスペクトルの蛍光灯を設置する必要があります。UVBは、ビタミンD3(カルシウムの代謝に必要)の生合成の為に、なくてはなりません。できるならそれらの代わりに水銀ランプを用いてみましょう。そうすることで、甲羅干しの為の熱、そしてUVBの両方の要求に適います。
カメが、涼しくてほの暗い隠れ家に行けるように、甲羅干しのスポットから離れた場所に、身を隠せる容器を用意するか、それと同じ用途として、カメが完全に自分自身を隠せるよう、十分な枯れ草を用意しましょう。著者はUVBを提供するために、低圧水銀蒸気ランプを使い、そして昼間の暖かさも同様に、飼育場にセラミックヒーターを24時間つけ、それで温度差を生じさせたものを、その隅に置いておりますが、この二つで、飼育が非常にうまくいっています。上記で述べているライトとセラミックヒーターについてアドバイスしていますが、定着させる器具としてセラミック製のものを使っていること、そして水銀ランプとセラミックヒーターは非常に熱いので、これらは燃えやすいものが触れることがないように取り付けなければなりません。上記のようにセットして、筆者は何度も繁殖活動をしているのを見てきましたし、外に出してやると(普通は物おじするが)とても活発に動くカメです。
屋外での飼育 : 屋外の、外敵が入ってこない生息環境は、屋内での飼育環境をしのぐ、たくさんの利点がありますが、暖かい時期に、その地域が湿度の低い気候かどうかが、屋外での飼育をするかどうかを選択するものとして、真剣に考慮されなければなりません。ゴールデンギリシャガメは、寒さにはかなり耐えるように思われますが、このケアーシートの始めのほうで述べたように、じめじめした状態に耐えることはできません。
餌
:
繊維質が多く、低タンパク、そしてカルシウムが豊富な餌は、消化管の働きを損なわず、順調に成長することを、確かなものにします。
(ゴールデンギリシャガメに)関連する種である、ヨーロッパリクガメ属(Testudo)の種に、キャットフードやドッグフードを頻繁に与えると、腎臓病になったり膀胱結石が詰まったりして、死んでしまいます。ゴールデンギリシャガメには、それとは反対に作用するだろうと推測すべき理由はありません。スーパーマーケットで売られている野菜や果物は、概して繊維質も少ないし、糖分が多すぎるので、与えすぎるのはやめましょう。ゴールデンギリシャガメには、それらを完全に与えなくする必要はありませんが、フルーツは本当に滅多にない楽しみとしてだけ与えましょう。糖分の多い餌を与えると、下痢を引き起こすことがあるからです。
餌の与え方 :
追加的にカルシウムの栄養補助をすることは欠かせません。カルシウムの粉末を全ての餌に振りかけてもいいでしょう。もしカメを屋内で飼育しているのであれば、カルシウムと共に、ビタミンD3のサプリメントを、屋外飼育の場合はビタミンD3なしでカルシウムだけのサプリメントを与えることを提案いたします。イカの骨は、かじりたがるのであれば、与えてもいいということもお勧めします。イカの骨は、かじりたがるのであれば、与えることをお勧めします。付け加えて、必要に応じてマルチビタミン
・
ミネラルを混ぜると、この種のカメが飼育環境で食べている餌に不足している栄養補助が必要になることを防ぐでしょう。
ゴールデンギリシャガメは体重が重く、脂肪も蓄積しますが、これは寒い時期に冬眠をし、暑くて乾燥したときに夏眠をするかららしいようです。今の時点では、このカメが冬眠、夏眠のどちらを行なうのか、それともその両方を行なうのかを知るための情報が、手許に十分にはありません。筆者は今の時点ではこの種のカメに冬眠させるという試みは、お勧めしません。イベラギリシャリクガメ(Testudo graeca ibera)のトルコ産(原文注2)の2つの変種は、どちらも冬眠をしますが、そのどちらもゴールデンギリシャリクガメに似ています。しかし新しい情報によると、それらはヨルダン、レバノン、またはシリアを基点とするようです。この一帯の冬は雨季にあたり、降水量は12月が過ぎてから最も多くなります。その雨季には、雨が多めに降るのですが、雨季の数日間だけに集中した降りかたをし、それもすごい土砂降りです。降雨量は年によって大きく変わります。時によって、冬の間 霜が降りることもあります。また、大体15年に一度、輝いた、粉のような雪がベイルートほど南方にいたるまで、降ります。もしこれが実際に、上記がイベラギリシャリクガメの元の生息地ならば、私はこれら(ゴールデンギリシャガメ)を決して冬眠させることはないでしょう。野生から輸入される、これらカメたちが、正確にどこにいたのかがわかるまで、冬眠時期を設けてみようとしないよう、提案します。
医療と健康
:野生で捕まえられたカメであればどれでも、購入する前に、鼻孔と目をよく見ましょう。もし口がとても青白く、舌が何かで塗られたようであったり、歯垢のようなもので覆われていたりしているのが見られたら、また、もしそのカメが鼻や口から泡を出していたり、目が腫れて閉じていたりしたら、そのカメを買ってはいけません。その状態では、たとえ懸命な医療の介入をもってしても、そのカメが助かる見込みは少ないでしょう。
筆者が見てきた、輸送されてきたゴールデンギリシャガメのどれもが、寄生生物、つまり線虫類や原生生物(原虫)類の両方に、重度に寄生されたものであるということは、注目すべきことです。この状況は、このカメの健康と幸福が求められてしかるべきです。もしこれらのカメの飼育に取り組もうとお考えであれば、爬虫類に精通している獣医のところへ行く費用も、カメを買う費用の一部として考えなければなりません。手当てが不十分だと、決まって下痢、そしてそれに伴って脱水症状にやられてしまいます。ゴールデンギリシャガメがPanacur(訳注 ・ フェンベンダゾール、線虫などの駆虫薬)や Flagyl(訳注 ・ フラジール、原虫などの駆虫薬)の投与で、いい反応が見られます。用法や用量の情報は、インターネットや専門書では、しばしば時代遅れで、危険な余地があるので、注意しましょう。薬のことは、訓練を受けた専門家に任せるようにして下さい。
もう一つの健康上の問題で、この種のカメにかなり高い頻度で見られるのは、敗血症(血液中のバクテリアで、深刻な病気と関連がある - 原文注3)です。この状態は、腫れたまぶた、体重の減少、活動の低下、そしてこのカメの明るい色彩に非常に顕著に見られる、腹甲も含めて甲板からの(赤い色を呈する)出血、食欲不振、活動の低下、目から膿(うみ)が出る、そして場合によっては、皮膚のあちこちの部位で、小さな腫れものができる、といった症状を含むことが、かなりの数で見られます。この状況での手当ては、(水分、抗生物質、他の助けとなる措置を)積極的に行なうことと同様に、素早く行なう必要があります。血液中の細菌は、肝臓、肺、腸、そして腎臓のような、血管のよく発達した器官に速やかに繁殖し、それはカメに重度のダメージと、そしてしばしば死をもたらします。このような状況には、カメが一番好む温度の場所を設けることが、免疫系統が適切に働くようにする為には理想的なので、このことは注意深く十分にケアすることには必要です。
この「医療と健康」のところで、再び触れることになるもう一つの問題は、鼻水と、鼻孔から泡を出している点についてです。もし鼻水が透明なら、それは医療上の下地の問題というよりはむしろ、極端な多湿と、じめじめしている環境ということによる傾向が強いのです。もし鼻水が黄色であり、粘っこいのであれば、それは医療上の問題であり、皆様のところの獣医と共に、それを対処する必要があります。
様々なカメの飼育の研究は、まだ進行中です。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラスト、www.chelonia.org )で公開していきます。真剣にカメを飼育している人は、これらのカメを飼育している他の人からの援助を受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスしてください。どうか我々と連絡を取り、World Chelonian Trustのメンバーとなられて、多くの益を得てください。
原文注1
:
種としてのイベラリクガメ(Testudo ibera)は、しばしばギリシャリクガメの亜種としてのイベラギリシャリクガメ(Testudo
graeca ibera)のことを言うのに用いられます。私たちはギリシャリクガメの亜種としてのイベラリクガメ(T.
graeca ibera)をここで言っていますが、更なる情報をお探しであれば、文献を調べるとき、どの学名も使われているはずです。
原文注2
:
2000年1月に発行された専門雑誌―
生物学、卵を産むこと、繁殖、そしてカメの変種の保護―4ページから始まって、その雑誌の大部分にわたって、連続的に書いてあった、ハンス
ヘルシュ著の「ギリシャガメ」による。
World Chelonian Trust
www.chelonia.org
PO Box 1445
Vacaville, CA
95696
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