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アカスジヤマガメ Rhinoclemmys pulcherrima (Gray, 1855) ― Ornate Wood Turtle― リサ ワイス
(Translated by Yasunori Tanaka)
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Rhinoclemmys
pulcherrima (Gray, 1855) –
Ornate Wood Turtle
– Lisa Weiss
Rhinoclemmys pulcherrima
(GRAY, 1855) – Tortue forestière ornée.
Par Lisa Weiss
Rhinoclemmys
pulcherrima incisa –
グァテマラアカスジヤマガメ
Rhinoclemmys pulcherrima manni –
コスタリカアカスジヤマガメ
Rhinoclemmys pulcherrima rogerbarbouri –
バーバーアカスジヤマガメ
Rhinoclemmys pulcherrima pulcherrima –
メキシコアカスジヤマガメ
はじめに : 全てのカメの中で、最も美しい模様のあるカメの一種であると考えられる、アカスジヤマガメ(Rhinoclemmys pulcherrima)は、 近年 爬虫類の取引を通じて、広く手に入れられるようになりました。この種はしばしば“Central American Wood Turtles(敢えて日本語に訳すと、「チュウベイヤマガメ」となるだろう)”とか、“C.A. Ornate Woods(同「チュウベイニシキヤマガメ」)”というように呼ばれますが、このカメは簡単に、そして廉価で手に入れることができます。取引業者や繁殖業者、またPetcoやPetsmartといった大衆市場のペットのチェーンストアからでさえ、手に入れられます。ところがそのカメたちは、しばしば種を間違って同定されていたり、不適切な環境におかれていたりします。認識されている4つの亜種のうち、Rhinoclemmys pulcherrima manni (コスタリカアカスジヤマガメ)とRhinoclemmys pulcherrima incisa (グァテマラアカスジヤマガメ)のみが(飼育または販売されたものとして)よく見られます。一方、Rhinoclemmys pulcherrima rogerbarbouri (バーバーアカスジヤマガメ)やRhinoclemmys pulcherrima pulcherrima (メキシコアカスジヤマガメ)は、公共機関(施設)でも、個人のカメのコレクションとしても、滅多に飼育がなされていません。
外観について : アカスジヤマガメは、メキシコと中央アメリカの西岸を原産とするカメで、メキシコのソノラ州南部から、コスタリカにかけて分布します。この範囲で最も南で見られるコスタリカアカスジヤマガメは、最もカラフルな亜種です。この範囲内のいくつかの地域では、これらのカメは黒っぽい背甲に、華やかな赤と黄色の斑点があり、背甲の周囲には、その下部が鮮やかな色が代わる代わる筋状に見られ、そして輝かしい緑色の頭部に、入り組んだ赤い縞模様が見られます。グァテマラアカスジヤマガメは、前者と比べるとやや目立たないのですが、背甲がオリーブ色から茶色にかけてで、斑点の模様が相当薄れているか、或いは見られないこともあります。これら2亜種は大きさは中くらいで、スライダーガメ(ミシシッピアカミミガメなど)からアメリカハコガメの間くらいです。グァテマラアカスジヤマガメは、背甲がドーム状になったコスタリカアカスジヤマガメより、平らな体形をしています。オスは普通、メスよりも小さいですが、尻尾はメスより長くて太く、総排泄孔は、甲羅の縁の外側に出たところにあります。
飼育環境
:
どの亜種もほぼ陸棲で、近くに水場のある森林地帯を好みます。屋内でこのカメを飼う場合は、程よく暖かで、湿り気のある状態を保たなければなりません。しょっちゅう水で霧吹きをすると、カメの住まいが乾ききってしまわないように保てるので、お勧めします。昼間は飼育環境全体の温度が、摂氏24~28度にすると、適度の活動や食欲を促進するでしょう。ウルトラサーム(Ultratherm)や、その他の底面ヒーターは、土をちょうど良い温度に保つのに利用できます。しかしもし利用するなら、カメたちが望んでいれば涼しい場所に行けるように、飼育環境の一部分の下だけに利用してください。グァテマラアカスジヤマガメも、コスタリカアカスジヤマガメも、時々好んで甲羅干しをします。これには45~60ワットのランプを、飼育場の片側に12~18インチ(30~45
cm)の高さに設置し(ランプの下のバスキングスポットの温度が、大体
摂氏
35度ほどになるようにします)、暗めでより涼しい隠れ家を、飼育場のもう一方の側に用意することに注意してください。もしカメが屋内で長期間にわたって飼育されているのであれば、爬虫類用のフルスペクトルの蛍光灯も用意しなければなりません。アカスジヤマガメは冬眠をしないので、それに適した飼育設備が年間を通じて利用できるようにしておかなければなりません。冬季になると、屋内では大きなプラスチック製の保存用のたらいを用意して、湿度を保つため、また安全のために、部分的に覆いをかけましょう。園芸用の土とバーク材(チップ状にした木の皮)を半分ずつ混ぜたものを、3~4インチ、つまり7.5~10
cmの深さで敷いたものは、いい床材になります。部分的に湿ったミズゴケや枯葉を敷くと、カメたちも喜ぶでしょう。アカスジヤマガメたちは、隠れ家や身を潜める場所に入ることもあるものですが、この種のカメたちは、休息をとったり隠れたりするのに、身体を部分的に床材の下にもぐらせることを好むようで、湿った土や枯葉をひっくり返して自分の背中に乗せ、頭と頚だけが外に出て見えるようになる、ということもよくあります。
水は、カメたちがいつでも飲めるようにしておかなければなりません。これらアカスジヤマガメは日常的に水を飲み、またそこに身体を浸すものなので、プラスチック製の浅くて平たい皿や、大きな植物の鉢受けを用意しなければなりません。一時的に小さな皿を飼育環境に用意し、そこにはいつでも水に浸かれるわけではないようにすると、カメたちはそれをすぐに憶えて、飼育環境の隅に埋め込んだ、小さくてどっしりとしたボウル(鉢)の水を飲みにいくようになります。ボウルに注がれた水を見たカメは、大抵それがどんなものか調べたくなるよう刺激され、すぐにこの「水の穴」から普通に水を飲むように適応します。飲み水用のボウルを用意することのもう一つの利点は、飲み水が、身体を浸している皿のものよりもきれいであるという点です。屋外での飼育環境では、大きめの水の皿か、小さな池を用意すれば、どちらの亜種のカメもよく使いたがるものです。但しカメたちは大抵、水に身を浸している最中に排便をするので、水は頻繁に替えることになるでしょう。
何はともあれ可能であれば、屋外で飼育させるべきです。著者がカリフォルニア州で、アカスジヤマガメを、春の終わりごろから9月か10月までずっと、屋外で囲いをつけて飼っています。大きな木を何本か植えておくと、一日のうち、朝や夕方の遅くを含む多くの時間帯で、まだら状の影ができるでしょう。飼育場に低い潅木やキスゲを植えて、バーク材を層にして地面を覆い、カメが身体をうずめたり、隠れたりできるように、落ち葉をたくさん撒いておきます。(ガーデン用のスプリンクラーでの)45分間シャワーをかけることは、カメたちにとっては日常的な楽しみとなります。午後、このような「雨」が降っている間、カメたちは餌を食べたり、水浴びしたり、交尾したり、またただ歩き回るといった行動をおこすようになります。カメたちはまた、この時だけ、湿った表土で影響を受けたミミズなどの虫を見つけるために、穴を掘ります。
餌やり: アカスジヤマガメは、アメリカハコガメに与えるのとほぼ同じメニューの餌を、与えていいでしょう。これらのカメはたくさんの餌を喜んで食べ、餌を食べ残したり、新しい餌を受け付けなかったりすることは、ほとんどありません。幅広い種類の草や野菜、またフルーツを、餌全体の大体80%を占めるように与えます。他に好んで食べる餌は、コスチシャ(ローメインレタス)、オオバコ、カボチャやズッキーニを含む瓜類、トウモロコシなど穀類、ニンジン(おろし金でおろしたもの)、トマト、イチゴ類、メロン、バナナ、マンゴー、セイヨウナシ、リンゴ、そしてブドウです。このカメは生き餌を旺盛に食べるもので、他に火を通した鶏や魚の赤身もよく食べます。時々Mazuriやレプトミンといった市販のカメの餌も、追加的に与えます。餌には高品質な爬虫類用ビタミンを週ごとに与えましょう。またRep-Calなどの栄養補助剤を、週に1~2回振り掛けて与えましょう(カメが若いうち、また繁殖期をむかえている成体には、もう少し頻度を高くして与えましょう)。どの個体も一致して、一番好んで食べるのは、ミミズで、非常に旺盛に食べます。特にグァテマラアカスジヤマガメ(R. p. incisa)は、ミミズなどの虫を求めて、何時間もかけて、懸命に地面を掘るものです。効率よく、またうまくミミズを掘り当てることから判断して、どうやらミミズなどの虫は、これらのカメの自然界での餌のうち、重大な位置を占めるものだと思われます。
健康全般 : 経験をつんだ爬虫類の獣医師は、新しく手に入れたカメも診てくれるはずです。そこでカメが寄生虫に関する問題、甲羅の腐れ(シェルロット)や呼吸器の兆候を診てもらいましょう。一旦健康な状態に落ち着いたアカスジヤマガメにとっては、適切な飼育環境と給餌がなされている限り、自分自身の健康を維持するのは、難しいことではありません。
これらのカメは、人を魅了し、また飼うことによって得られるものも大きい、一般的にすぐに新しい環境に慣れるカメです。どちらの亜種も本当に人に馴れるようになり、とりわけグァテマラアカスジヤマガメは行動的で、物怖じすることがなく、探究心旺盛で、屋外でよく動き回るものです。
様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であることに注意して下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラスト、www.chelonia.org)で公開していきます。カメを真剣に飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助を受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。
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