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ヒラオリクガメ Pyxis planicauda ダレル セネーク 及び クリス タバカDVM(獣医学者)

 

 (Translated by Yasunori Tanaka)

 

参考文献:

ヒラオリクガメの雌雄の見分け方(英文) クリス タバカ DVM(獣医学者)

Flat-tailed Tortoise - Pyxis planicauda – Darrell Senneke and Chris Tabaka DVM

Flachrückenschildkröte - Pyxis planicauda – Darrell Senneke und Chris Tabaka DVM

Breeding, Incubation and Hatching of the Flat-tailed Tortoise (Pyxis planicauda) - Pat Ruby

Pyxis Gallery

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分類学上の「遍歴」:

Testudo planicauda GRANDIDIER 1867 
Acinixys planicauda - SIEBENROCK 1902 
Testudo morondavaensis VUILLEMIN 1972 
Pyxis planicauda - BOUR 1981 
Pyxis planicauda - KING & BURKE 1989 
Pyxis (Acinixys) planicauda - KUCHLING 1989 
Pyxis (Pyxis) planicauda - GLAW & VENCES 1994

米国での通称名 Malagasy Flat-tailed Tortoise 


 

このケアシートは、一般的な飼育方法です。この種のカメを最高のコンディションに保たせ、繁殖させるための研究は、特にこの珍しく、小さな種類のカメには不可欠です。

 

普通 我々は、ケアシートの導入部分の段落では、その種のカメと、その一般的に魅力とされるところについて、軽くその概観を説明しております。ところがこのケースでは、不運にも一般よりもはるかに深刻であり、そのことのために、下記のような引用文による説明のほうが、重要になります。下記はジョン ベーラー(John Behler)の、ワシントン条約動物委員会(the CITES Animal Committee)や、その関連会派に、200219日に提出された論文からの抜粋です。

 

「アンタナナリボ(マダガスカルの首都)にいる間、我々がマダガスカル南部に行くのに先立って、私がJ. Durbin氏から個人的な手紙のやり取りにより聞いていたのですが、ヒラオリクガメ(Pyxis planicauda)の収集が、キリンディ(マダガスカルの地名)地区で再び行なわれたそうです。前回にも動物委員会で報告しましたように、この種のリクガメが収集されるのは、ワシントン条約に割り当てられている限度を超えています。このことは、USFWS(米国魚類・野生生物局)でも確認されています。去年5月にマダガスカルにおける、CBSG(野生生物保全繁殖専門家グループ)やCAMP(自然環境保護アセスメント及び管理計画)での会議でも、この種のリクガメをどこに位置づけるかが考慮され、その際、絶滅の恐れが極めて高いと判断されました。このリクガメは乾燥した落葉樹に住む種で、そこはオオミミアシナガマウス(giant jumping rat)の生息する場所でもあります。これはPHVA(生物の個体数と生息域の生存能力に関するアセスメント)を通して、全貌が調査されたのですが、その結果、30年以内に絶滅するであろう、と予測されました。彼らの生息域である森林も、年に45パーセントが失われています。他の全ての要因を無視しても、その統計結果からは、これらの種が直面する、厳しい将来像を示しています。ヒラオリクガメをこれ以上収集するのは、やめなければなりません。マダガスカルの動物販売業者は、この種の保護を考えると、生物学的な土台のない役割を担うことになるでしょう。CAMP(上記参照)の、マダガスカル人及びその海外居住者も、この問題に関して確かな評価を下しています。」

 

生息環境 ヒラオリクガメは、非常に様々な気候下に分布し、その状況で棲息が確認されており、上で述べたとおり、落葉樹の生える場所にも分布しています。自然界ではそのリクガメは摂氏7度を下回り、また28度を上回る天候も、経験しています。ヒラオリクガメもまた、その上限を超える温度になると、活動性も弱り、そのような時には、実際上、自然界で、高湿度のシェルターを探すのです。「乾燥した落葉樹」という言葉では、誤解を生む恐れがあります。「乾燥」と表現してはいても、実際はその森林の下層部の湿度は、いくぶん高いからです。ほとんどの森林棲の種類のカメも同様に、その必要とする湿度はかなり高く、70パーセントかそれ以上の湿度を確保すべきだと、我々は提案します。このことは、彼らを飼育するための設備を整える際、考慮に入れなければなりません。このヒラオリクガメという種はまた、気温が低くても活動性が弱まるので、この種は、全てのカメの中で、最も「気候」の影響を受けやすいものの一種であると言えるでしょう。

 

ヒラオリクガメの屋内飼育: -  ヒラオリクガメを屋内で飼育する場合、「タートルテーブル(リクガメを屋内飼育するのに用いるタートルテーブルの作り方(英文) David T. Kirkpatrick Ph.Dによる」を使うのが、一番便利でしょう。その外観は、本棚の一部を後ろ向けに倒したような形に見えます。このリクガメを一匹飼育するのに手ごろな大きさは、60 cm×90 cmです。もしこのカメを複数、同じ場所で飼うには、その飼育環境も当然、大きくする必要があると同時に、視線ブロック(訳者注 ・原文:“sightline breaks”。カメ同士の視線を遮るために、飼育槽の中に置く岩や丸太などのこと。これによりメスガメがオスガメの執拗な求愛活動から逃れられるなど、お互いの視線によるストレスを軽減でき、また囲い全体も広く感じられる。カメがどこにいても、ひと目では飼育槽全体を見渡せないようにすれば良く、丸太であれば、普通飼育槽の中に斜めに一本置くだけでも良い。カメが閉じ込められることのないようにする)を置いて、このストレスを感じやすく、内気なカメに、様々な環境を与えてやってください。ヒラオリクガメの成体を、屋内で、つがいで飼うには、少なくとも120 cm×60 cmの広さの飼育環境が必要です。この「タートルテーブル」の底部に切り込みを入れて穴を作り、餌や水、更に巣箱をも同じ高さに来るように埋め込むと、それらがカメにとって、近づきやすいものとなります。

 

ヒラオリクガメの飼育には、水の入った皿を用意しなければなりません。我々が強くお勧めするのは、ただ皿を置けばいいのではなく、それらのカメが水の入った皿へ、自分の身体を浸しにくるように覚えるまでは、皆様がご自身でカメに頻繁に水に浸らせるようにすべきだということです。カメにそれを覚えさせる方法の一つは、毎日か二日に1回、カメがこれを覚えるまで、基本的な行動として、必ずその皿のところへそのカメを移す、ということです。カメの飼育場に置く水の入った皿は、一匹が十分体を浸せるような大きさ、そしてまた溺れることがないような浅さが必要です。小さな写真現像用の皿は、この用途にちょうどいいでしょう。ヒラオリクガメは高湿度を好むカメなので、我々は床材(飼育場の下地として敷くもの)として、我々はイトスギ材を敷くことをお勧めします。

 

金物屋にあるような、反射板のついた、クリップつきのランプを水槽の一角に設置して、人工的な甲羅干しの施設を作ってやりましょう。これは飼育環境の中にある、甲羅干しの為のバスキングスポットが、摂氏3238度ほどになるようセットしましょう。飼育環境には他に、UVB(中波長紫外線)をカメに与えるために、フルスペクトルの蛍光灯を設置する必要があります。UVBは、ビタミンD3(カルシウムの代謝に必要)の生合成の為に、なくてはなりません。できるなら、この蛍光灯の代わりに水銀ランプを用いてもいいでしょう。それで甲羅干しの際の熱と、紫外線のどちらの要求にも適います。水銀ランプをご使用になるのであれば、セラミックランプは非常に熱いので、セラミックランプはホルダーですえつけておくことをお勧めします。そしてヒーターをすえつけたものは、(干草などの)燃えやすい床材が触れることのないように、取り付けなければなりません。カメが、涼しくて湿り気のある、ほの暗い所にも行けるように、甲羅干しのスポットから離れた場所に、身を隠せる箱のようなものを置いておきましょう。これはヒラオリクガメにとっては、特に重要なこととなります。また、ご提案したいことの一つとして、そのような身を隠せる箱を作る際、高湿度を保つために、水でぬらしたスポンジが貼り付けられるようにすることが挙げられます。
食物繊維が多く、タンパク質の少ない、カルシウムが豊富な餌を与えていれば、消化器官の働きを損なわず、また順調な成長を確かなものにします。キャットフードやドッグフードを頻繁に与えていると、腎不全になるか、または尿酸が固まることによってできる膀胱結石がつまり、死んでしまうカメ(訳者注 特に、リクガメを指していると思われます)も、たくさんいます。ヒラオリクガメに対しては、異なった反応を示すだろうと推測すべき理由は、全くありません。スーパーなどで売っている野菜類は普通、食物繊維が少なく、糖分が多すぎるので、与えすぎないようにしましょう。葉菜類的な(葉が主に食べる部分となる)野菜や草に、霧吹きで吹きつけるなどの方法で、少し水を振りかけてから与えると、ヒラオリクガメが早朝 餌を食べる状況に近くなり、必要な水分を餌につけて与えられるでしょう。複数の果物や野菜、キノコや他の植物を刻んで混ぜて与えると、与える餌に多様性がつけられます。この方法では、カメたちが、その刻んで混ぜられた餌の中から、自分が特に気に入るものだけを取り出して食べる、ということが難しくなるからです。この種のカメに関しては、野生本来ではどのような餌を食べているのか、また飼育下ではどのような栄養のバランスなどを考えるべきかについて、更なる研究が必要です。

 

与える餌に不可欠なもの:

 

追加的なカルシウムの栄養補助は不可欠です。粉末状のカルシウムは、全ての餌に振りかけることができるでしょう。もし屋内飼育の個体ならカルシウムと一緒にビタミンD3も入っているものを、屋外飼育の場合はビタミンD3なしでカルシウムを与えることをお勧めします。イカの骨も、欲しがるのであれば、それを与えて かじらせることもお勧めします。成長の速い子ガメ(左のように)、そして妊娠の可能性のあるメスガメには、非常に重要です。

 

ヒラオリクガメは、冬眠はしませんが、非常に温度が高い乾季や、また特に寒い時季には、「夏眠」をするかもしれません。この種のカメについて十分に知られ、繁殖の用意ができるまでは、本当に必要最小限の夏眠でなければお勧めできません。また、その場合にしても、非常に注意深い観察だけはなされなければなりません。この種にとって、飼育環境を繁殖のために整えることは、繁殖を重ねてきた個体にとって重要なことの一つだということは、わかってはいます。

 

医療と健康:  ヒラオリクガメが中から、つがいまたはその一匹を買うとき(原文注 このカメは希少なので、繁殖を意識して飼うべきです。著者の意見としては、オスでメスであれ、一匹で飼育するのは無責任であるように思われます)、いくつかのことを考慮に入れなければなりません。最初に、そして最も主要なことは、皆様がヒラオリクガメを新しく買われるとき、どのような動機でそうなさるのか、ということへの考慮です。ヒラオリクガメは野生では、(個体数への)かなりの圧力下にあり、この種のリクガメを購入することには、どうしてもその種のカメを繁殖させようという意図で飼育がなされ、そのようにつがいで飼う、という必要があり、そういう意味での責任が伴います。我々全てには、このような またとない生物種を失う結果を、決して作らず、むしろ、その種の将来に貢献するよう、確かな責任を負っています。

 

このカメを買うとき、その買おうとしている個体の口、鼻腔、そして両眼を念入りに調べて下さい。もし口が極端に冷めた、薄い色をしていて、舌が垢(あか)のようなもので覆われていたら、また鼻や口から泡を出していたら、或いは目の周りが膨れていて目を閉じたままであれば、買ってはいけません

 

このヒラオリクガメという種は、自分たちにとって外部地域に産する病原菌に、非常に感染しやすいです。ですから他の種のカメとは厳重に隔離して、管理なさってください。一方、小さくて、見た目はデリケートな感じの種ではあるものの、健康な個体であれば、信じられないほど元気に振る舞います。どうかヒラオリクガメの自然分布と、彼らがどう過ごし、どう行動しているのかをお考えください。

 

最後に、薬の与え方は、インターネットや専門書などにも書いてありますが、時代遅れの情報であることも多く、潜在的に危険です。どうか薬の投与の問題は、熟練した専門家にお任せになってください。   

 

様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であるということをご認識下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、the World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラストwww.chelonia.org )で公開していきます。カメをまじめに飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助を受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、the World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。

 


References:
*The EMBL Reptile Database  http://www.embl-heidelberg.de/~uetz/LivingReptiles.html


 

World Chelonian Trust

www.chelonia.org

PO Box 1445

Vacaville, CA

95696

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