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Podocnemis unifilis - (モンキヨコクビガメ)の飼育―ダレル セネーク 及び クリス タバカDVM(獣医学者)   

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 (Translated by Yasunori Tanaka)

 

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Podocnemis (ナンベイヨコクビガメ属)のギャラリー(英文;写真多し)

分類学上の遍歴(原文注1:

 

Podocnemis unifilis TROSCHEL in SCHOMBURGK 1848: 647
Emys cayennensis SCHWEIGGER 1812: 298
Emys Terekay SCHINZ 1833 (fide PRITCHARD & TREBBAU 1984)
Podocnemis unifilis - KAHL et al. 1980: 117
Podocnemis cayennensis - DAVID 1994
Podocnemis unifilis - GORZULA & SEÑARIS 1999

 

英語での他の通称: Tracaja, Terecay

日本での以前の別称: モンキーヨコクビガメ、テレケイヨコクビガメ

このケアシート(飼育方法の説明書き)は、この種の一般的な飼育方法を述べているにすぎません。最良の飼育方法を確立するためには、更なる研究が不可欠です。

 

カメの愛好家の中でも、かなり以前からそうだという方の多くが、子供のころから“SS Kresge (今の‘Kmart’)”や、“FW Woolworths (今の‘Footlocker’)” のような安雑貨店行って、そこで売っていたカメたちを見に行くのが楽しかったという思い出をお持ちでしょう。比較的 普通に売られていたアカミミガメやチズガメ、またクーターガメに交じって、あまり目にしない種類も少し見られました。その種類の一つが、テキサスゴーファーガメで、一匹たったの5ドルで売られていたのを、時々目にしました。また、他の種類では、これといった特徴のない、ややドーム状に盛り上がった、灰色から茶色にかけての色をした甲羅に、おどけたように見えるその顔に、信じられないほど美しい黄色の模様が見られたという種類がありました。それらはPodocnemis unifilis、つまりモンキヨコクビガメの子ガメで、それら安雑貨店の「カメ水槽」では、よく見られたものです。輸入業者はその時代を回想して、この種のカメは、一回の船積みで、何千、何万匹ものそのカメを運んで、1960年代半ばで、一匹あたり1.5ドルとして数万匹が小売りにされたといいます。この時代に、カメに何を与えて飼うことができるか、という知識は、事実上ありませんでした。その上、当時この種のカメの種類を特定することさえ困難だったことを考えると、その結果は悲しいことに、雑貨店で売られていたほとんど全てのモンキヨコクビガメが死んでしまったでしょう。他の理由としては、これら雑貨店自体が、時とともにすたれていったからでしょう。

 

こんにち使われているフルスペクトルのライトや、カルシウム剤も、当時はありませんでした。付け加えて、どの種のカメであれ、その飼い方を細かく記した本が、当時はほとんど手に入りませんでした。インターネットも当時は存在せず、爬虫類を研究する協会や団体のようなものも、ほとんどありませんでした。当時のカメの餌としては、乾燥させたハエやアリの卵でした。それに変わる餌として勧められたのが、生の挽き肉やキャットフードでした。モンキヨコクビガメは植物質の餌を良く食べる種類なので、そのような餌やりが不可欠だったのです。カメの収集家が飼っている中で、“Podoc(ナンベイヨコクビガメ属‘Podocnemis’の俗語)”が、当時から飼われていたものは、実際のところ、極めてまれです。収集家によるものではなく、アメリカ動物園水族館協会の北米区域のナンベイヨコクビガメの、1992年(原文注 2)に出版されたナンベイヨコクビガメ属(Podocmenis)のカメの飼育記録を見ても、手に入れられる情報は、今でさえ非常に少ないのです。モンキヨコクビガメの大規模な船積みによる輸送により、1975年にCITES(ワシントン条約)附属書IIに記載され、米国の絶滅の恐れのある種のリストにも載せられる結果となりました。これにより、絶滅のおそれのある種に関する法律ESA)の下で、保護されるようになりました。今では人工繁殖動物福祉事業(CBW)の許可により、州を越えて、売買が不可欠であれば、それができるようになっています。この種は、特別な許可により、人工繁殖個体として、時折手に入れられることがあります。

 

モンキヨコクビガメは、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、フランス領ギアナ、ガイアナ、ペルー、スリナム、そしてベネズエラに見られます。このカメを飼育するには、自然界の元々の生息地を反映したものである必要があります。このカメは、「河ガメ」という呼ばれ方をすることがよくありますが、一般に我々が河川と言われて思いつくような速い流れのものよりむしろ、流れのゆるい河川や三日月湖で見られる傾向が強いものです。モンキヨコクビガメは、水棲のカメにしては、潜在的に甲長68 cm SCL SCLとは、巻尺などで背甲に沿わせるのではなく、ノギスなどで直線的に測って得られた長さを表します)に達することがあります。このカメの成体は、平均で35 45 cm SCL)の間です。成体になると大きくなるので、池や、大きな生簀(いけす)などのようなものより狭い場所で、このカメの成体を飼おうとするのは、現実的ではありません。産卵期は年中見られ、普通は1520個の卵を産みますが、最多では40個を生んだ記録(原文注2)があります。成体になると、メスのほうがオスよりも少し大きくなる傾向があります。

 

モンキヨコクビガメの幼体の屋内飼育

 

モンキヨコクビガメの幼体を飼育するのに、一番便利なのは、水槽を使用する方法です。生まれたての幼体を飼育するのに、私がお勧めするのは、水深を7.515 cmにして、水槽の片側に、岩などを組んで、完全に水から出て乾いた、甲羅干しのできる場所を作ってやりましょう。子ガメ一匹に対する、手ごろな水槽の大きさは、20ガロンの「長い」水槽、つまり75 cm×30 cmの大きさのものでしょう。カメが大きくなれば、飼育環境も大きくしなければなりません。

 

水質は、極めて重要です。あらかじめ少しの時間とお金をかけ、適当な濾過器を買えば、モンキヨコクビガメに伴う多くの問題が防げるのです。適当なケアは、病気などを予防する鍵といえます。モンキヨコクビガメの成体には、大きな池と、よりたくさんの水が処理できるフィルターをお勧めします。子ガメの場合は水深を浅くして飼育しているので、適切な濾過が難しくなります。こういう場合は潜水式のフィルターか、パワーフィルターのどちらかを使って、その上での頻繁な水替えをするのが、この問題での最良の解決策でしょう。

 

モンキヨコクビガメを屋内飼育するには、甲羅干しができる環境を整えてやらねばなりません。金物屋にあるような、ある場所に固定できるクリップと反射板も一緒についたランプで、甲羅干しができる場所、つまりバスキングエリアを、人工的に作ってやりましょう。そのランプは、甲羅干しの場所が、摂氏32度ほどになるように、調節して取り付けます。飼育環境には他に、UVB(中波長紫外線)をカメに与えるために、フルスペクトルの蛍光灯を設置する必要があります。UVBは、ビタミンD3(カルシウムの代謝に不可欠)の生合成のために、なくてはなりません。できるなら、この蛍光灯の代わりに水銀ランプを用いてもいいでしょう。それで甲羅干しと紫外線のどちらの要求にも適います。水銀ランプを使う際は、 ランプを支える部分がセラミックでできていることをご確認ください。プラスチックで固定すると、発生した熱で溶けてしまうことがあるからです。また、飼育環境の熱源から発生する熱のため、カメが暑いと感じたら、そこから逃れられる場所をたくさんあることもご確認ください。植物としての、または作り物の水草は、カメに安心感を与え、また隠れ場所にもなります。水温は重大ではありませんが、モンキヨコクビガメが本来住んでいる環境である摂氏22度~27度の間にしましょう。


屋外での飼育:

 

外敵の入ってこないようにした屋外の飼育環境には、屋内飼育を超えた様々なメリットがあります。そしてモンキヨコクビガメの成体には屋外飼育が欠かせないものになるとお考えください。大きめの池に、高性能な濾過器を使えば、皆様の屋外のモンキヨコクビガメの住まいに、壮観な眺めを演出します。このカメは、水の底でじっとしているのを好むので、それができるだけの安心感を与えるために、池の水深を充分に確保してください。しかし一方で、水面に鼻を出して呼吸するのが困難であってはいけないので、水深は2430インチ、つまり6075 cmぐらいが、お勧めの水深です。このモンキヨコクビガメの場合は、池には更に、登りやすい丸太や平らな段のようなものも、用意しておくことが必要です。

 

餌:

 

モンキヨコクビガメに餌を与えすぎないように、注意してください。私は、成体であれば、週に23回の餌やりを、また成長の速い幼体には、毎日か二日に1回ずつの餌やりをお勧めします。このカメは、多様性に富んだ植物質のもの、例えばカラシナ(からし菜)やカブの葉、タンポポ、ホウレンソウ、ニンジン、ズッキーニを食べます。その他アオウキクサ、ボタンウキクサ(ウォーターレタス)、ホテイアオイなどといった水草類も食べます。このカメはまた、モモ、リンゴ、ブドウ、メロンといった果物類も食べるものです。幼体であれば、昆虫やイモムシ類も食べることがあるのですが、これは彼らの主要な餌にはなっていません。こんにち、カメの餌やコイの餌などが商業的に売られていますが、補助的に与える分には、それらはモンキヨコクビガメにとって優れた餌になります。

 

モンキヨコクビガメは成長が速いので、追加的にカルシウムの栄養を補ってやることは不可欠です。粉末のカルシウム剤であれば、全ての餌に振りかけることができます。もし屋内飼育の個体ならカルシウムと一緒にビタミンD3も入っているものを、屋外飼育の場合はビタミンD3なしでカルシウムを与えることをお勧めします。イカの骨もかじりたがるのでしたら、与えることをお勧めします。カルシウム剤を餌の表面に振りかけても、水場で与えると、水に散らばったりして、確実にカルシウム剤が餌についたままにするのが難しいので、次のような方法を提案いたします。それは、カルシウム分を多く含んだゼラチンを、元々与えることにしていた餌に混ぜて与えるという方法です。必要となる補助的な栄養の与えるための餌の作り方は、下記のレシピの通り提案しております。ただし、これを主要な餌にするべきではありません。これは一週間に一度与えれば、不足しがちな、必要となるミネラルやビタミンを充分に供給することができます。

 

このレシピは、他の水棲ガメの種類に与える場合、特定の食材に変更することもあります。肉食性の強い種類だと、更に肉類を加える必要があるでしょう。

 

次のものを、細かく刻む。

·          葉菜類(タンポポの葉、エンダイブ、ローメインレタス、コラード、カブの葉、エスカロール(ハナチシャ)、ブドウの葉、クワの葉を手に入る範囲で)を刻んだもの 16オンス(453 g

·          果物と野菜(セイヨウカボチャ(トウナス)、リンゴ、セイヨウナシ、バナナ、ブドウ、モモ、その他を手に入る範囲で)を刻んだもの 16オンス(453 g

·          Mazuri Tortoise Diet (ネスレ・ピュリナ社のMazuri リクガメフード)を砕いたもの、またはそれと同等のもの(これによってマルチビタミンの栄養補助にもなり、改めてそうする必要を削ることになる) 10オンス(283 g

付け加えて、

·          燐(リン)成分の入っていないカルシウム剤(屋内飼育の個体には、更にビタミンD3を追加する)(カリフォルニア州レップカル研究所、"Rep-cal"のもの、またはそれと同等のもの) 1オンス(28 g

これらをよくかき混ぜて、

·          寒天を乾燥重量で3オンス(84 g)用意し、それを3リットルの沸騰水と混ぜる。火をとめて、上記の、刻んだ食材の中に入れ、それを浅いケーキ用フライパンか、パイ用の皿に注ぎ、冷蔵庫に一晩入れておく。固まり方が弱ければ、再び溶かし、寒天を追加し、また固める。

·          使う前に、キューブ状に切り、冷凍保存しておく。

·          できれば赤い色の餌も一緒に与えると、カメがそれを見て食欲が刺激されるので、そのような与え方をしても良い。

 

冬眠:

 

モンキヨコクビガメは自然界では冬眠しませんが、亜熱帯気候なら耐えられるでしょう。しかし温帯域では冬眠をさせようとなさらないでください

 

医療と健康: 

 

モンキヨコクビガメが、何かの健康上の問題を抱えることは、あまり多くありません。全ての水棲ガメは呼吸器の異常や、また甲羅に感染症の兆候がないか、注意深く観察し、飼育しなければなりません。現地採集の個体が合法的に手に入れられることは非常に少ないのですが、輸入の際に、もっと多くの深刻な病気にかかっていることがよく見られるもので、そのような個体である可能性が少しでもあれば、買うのを避けましょう。

 

付け加えて、(法的な問題を引きずっている恐れのある輸入個体ではなく、)人工繁殖個体を確実に手に入れることを促すものとして、ブラジルのゴイアス州でモンキヨコクビガメを大規模に飼育することを狙った環境計画の一部の研究で、研究論文を作成する間に、それらのカメが犠牲になり、その時90パーセントもの個体が、腎臓に原虫(原生生物)が寄生していた、ということが挙げられます。このことを念頭に置いてください。

 

様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であるということをご認識下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、the World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラストwww.chelonia.org )で公開していきます。カメをまじめに飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助が受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、the World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。

 


参照:

原文注1 : EMBL(欧州分子生物学研究所)の爬虫類データベース http://www.embl-heidelberg.de/~uetz/LivingReptiles.html

 

原文注2 : セジウィック カントリー動物園、カンザス州、ウィチタ 種の取引  http://www.scz.org/animals/t/ysart.html

 

原文注3 : 米軍病理学研究所 AFIP1998-1999 水曜協議 #28, Case II - Fac. Med. Vet. da USP (AFIP 2600309)  http://www.afip.org/vetpath/WSC/wsc98/98wsc28.htm

 

 


 

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