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リクガメ類の子ガメの基本的な飼い方と、日常的なケア ― ダレル セネーク
(Translated by Yasunori Tanaka)
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(訳者注・このページで単に「カメ」と述べている部分は、「リクガメ」を指すものとします。)
(Translated by Yasunori Tanaka)
Cuidado diario de los
Galápagos de reciente eclosión -
Darrell Senneke
(リクガメの)子ガメの日常的な世話には、ただ水入れをきれいにしたり、餌を与えるといったことだけでなく、それらよりも、はるかにたくさんのことが含まれます。様々な範囲のことを実行することが、皆様の生活の一部分になるものです。
まずはじめに、毎朝しなければならないことは、ライトが点いており、光線がちゃんと注がれているか、確かめることです。バスキングライトの照らす場所が、カメのシェルターとなる箱から、ずっと離れていなければならないということも、お忘れにならないでください。飼育場全体の温度を一様にせず、温度の高めのところと低めのところを設けることは、重要になります。子ガメが自分の意思で身体を温めたり冷やしたりすることができるようにすべきです。飼育場が小さすぎると、このことができません。
何を観察すべきかというお話を進める前に、皆様に何か問題が起こったとき、それに対する正確な対処がどういうものなのかを押さえておくことが重要になります。このサイトでは、(カメの)医療と健康についての情報を用意していますが、それは充分な資格のある獣医師にゆだねることが前提になっているわけではありません。残念ながら、爬虫類の扱い方についてほとんど、または全く教育を受けていない獣医師も多いのです。このことのため、どんな問題にも対処できる獣医師を、皆様が選ぶ必要があるのです。リクガメを診察するのに充分な訓練を受けている獣医師を探すための最善策は、当サイトで、このことのために設けたページをチェックなさるか、the WCTのリストに登録なさるか、またお住まいの地域の他の方々のお勧めに沿うという方法が挙げられます。私たちは同時に次のようなこともお勧めしています。リクガメをよく診てくれる獣医師に、往診に来ていただき、その方に皆様のリクガメを親しみを込めて診てくださること、また皆様ご自身がその獣医師の方を頼りになさるようにすることです。
基本的な日常の観察事項:
1) 皆様のリクガメの幼体の活動性は、一般的なレベルですか? カメが病気だと、自分の身体の半分だけをバスキングランプの当てている様子が、よく見られます。健康なリクガメは、よく動くもので、ホットスポットへ行ったり来たりし、飼育場にある温度差も、よく利用します。中ぐらいに暖かいところで、じっとしていることはありませんか? これは、早くから発見できる
危険な兆候になることがあります。
2) 目はどうですか? カメの目はきれいでつやがあるように見えますか、または曇っていて生気を失っているように見えますか? そのカメは目を開けるのも難しくなっているでしょうか? その目は落ちくぼんでいますか? リクガメの目を見ると、早い時期に何が間違っているのかが、わかることが多いものです。この方法では、皆様がそれを続けていらっしゃらなかったり、そのカメを購入してから観察なさっていなかったりすると、はっきりとはわからないこともよくあります。
3) 呼吸は正常ですか? 若いリクガメには、呼吸のたびに頭部や前足を少しだけ伸ばすことを、断続的に繰り返すことも珍しくありません(訳者注・これは正常です)。しかし明らかに鼻から泡を出していたり、くしゃみをしたりするの様子は、普通は見られません。ぜいぜいと音を立てて呼吸するのも、このことと関係があります。一般的に言って、くしゃみは大きな問題になりうる病気の兆候になります。
4) 甲羅の見た感じや感触はどうですか? しっかりとしていて硬いですか、それとも軟らかくてスポンジのような状態ですか? リクガメの幼体は、孵化してすぐに硬くなり、生後1か月かそれ以上経っても甲羅が軟らかいのは、必ず何かの問題が現れていることを示すものです。これにはもちろん例外があり、それはパンケーキリクガメの場合で、生涯を通じて甲羅は軟らかいままです。甲羅の軟化は、大抵の場合、腹甲から先に現れます。
5) 甲羅が硬いかどうか触って確かめながら、その甲羅を見てください。つやは普通にあるでしょうか? 光沢は失われていませんか? このことは、これから起こる問題を示すものになることがあります。甲羅に、鈍かったりかすんでいたりする部位はありませんか? これらの点は、早期に発見されれば対処しやすく、そうなれば長生きするようになり、またそのリクガメたちが不恰好になったり生命を脅かされたりするものとならないでしょう。
6) においはどうですか? それを確認するのは難しいものですが、我々人類の最も主要な感覚器の一つは、嗅覚です。皆様がリクガメを日常的に世話するとき、そのカメに特有のにおいにお気づきのことと思います。著者には、これは廃屋になっている、農家の納屋のにおいのように感じます。もし普段とは異なるにおいがすれば、それはどこかがおかしい場合もあります。この種の問題は、獣医師に相談することも難しいものですが、リクガメの飼育経験の長い獣医師であれば、それを理解し、この場合どうすれば良いか、アドバイスしてくださるでしょう。
7) くちばしや爪は、どうでしょうか? それらは伸びた分を切る時期に来ていませんか? もし初めてでしたら、それらを切る経験の豊富な方に、助けを求めることをお勧めします。くちばしや爪を切るのはそれほど難しくありませんが、初めての場合は、他の人がそうするのを見たり、そういった方から教えてもらったりすべきです。
8) リクガメの飲み水と、入って自分の体を浸しにくる水は、きれいにしておきましょう。そうすると、飼い主がそのカメを水場に持っていかせなくても、カメが自分の意思で水を飲み、水場に出入りするようになります。カメが身体を浸すための水場をきれいにするとき、フンや食べ残しの餌などがあれば、翌日まで放置せず、取り除きます。もしカメが水を汚したら、水を入れ替え、水入れもきれいにするか、別のものにするかします。もし床材(特にリクガメの飼育の際、飼育環境の下地として敷く物)に、新鮮であるとはとてもいえないようなにおいがするのであれば、取り替える時期に来ており、床材を入れ替えるか、取り除くかします。
(訳者注・このページの著者に伺ったところ、カメが浸りにくる水の温度が室温であれば、排泄を促すのに温かめの水を用いる―つまり温浴をさせても同様の効果が得られるということです。このページでは、もともと温浴については述べられていませんが、それは序章で述べたとおり、「飼育場全体の温度を一様にせず、温度の高めのところと低めのところを設ける」と、室温の水場でも正常に排泄するものだとのことです。)
9) カメが水入れに浸かった後、その水入れがどうなっているか調べてください。排便は見られますか? もしそうなら、便はしっかりしているか、または下痢をしているでしょうか? もし下痢状の便であれば、カメにはもっとたくさんの粗飼料(わらなど)が必要で、(青物などと言われるような)葉菜類や果物は減らす必要があるかもしれません。皆様のリクガメにどんな餌を与えると一番良いか、というのは、本を読んで、専門家の方から教えてもらうということに付け加えて、リクガメのフンを観察して、それが良い状態になるように努められることです。もし排泄物に白っぽくてややゆるいものがあったとしても、心配なさる必要はありません。これは尿酸塩と呼ばれる物質で、時おり全く自然に見られます。
10) カメに餌を与えるとき、それをよく観察なさってください。普段どおりに食べていますか? この日常的な餌の食べ方の変化が、何らかの危険の、早期のサインになる場合もあることを、お忘れにならないでください。
11) 毎週1回ずつかそれぐらいの頻度で、皆様のリクガメが、手に入る中で一番正確なバランスに基づいて成長させましょう。1週間に10パーセントの体重減少が見られれば、何かの危険のサインであることもありますが、非常に良い便通があってもそうなるでしょう。記録をつけて、体重の変動を見ましょう。もし体重の減少が続いていたら、それこそが問題なのです。また、体重の急激な増加も問題です。SCL(訳者注・ SCLとはstraight carapace lengthの略で、背甲の縦(頭部←→尾部方向)を、ノギスなどで測って得た長さで、現在カメ類の大きさを測るのに最も一般的な方法のようです。例えば紐や巻尺で背甲を沿わせて得た長さと異なります)を定期的に測りましょう。皆様は、甲羅の自然に成長するのをお望みのことでしょう。リクガメ類、それもホシガメでさえ、本来は甲羅が滑らかなものです。でこぼこした甲羅は、ピラミッド型に盛り上がりつつあるサインですので、そうならないよう避けてください。
もしこれらを読まれて、やるべきことが多いな、とお感じになったら、リクガメの子ガメを飼うことが、その方にとっては、向いていないかもしれません。リクガメの日々の飼育には、リクガメ類は、楽に飼えるペットであるどころか、ここで書いたよりも更に多く語られるべきことがあるほどです。世話の良く行き届いた人工繁殖(captive bred (CB))の幼体は、もしかすると、飼い主である皆様より長生きし、さらに皆様の子供たちよりさえ、長生きするかもしれません。しかし飼育が不適切であれば、リクガメは悲しい死を迎えるのです。
上手にリクガメを飼われ、充分な経験をお持ちの方々、また、リクガメのノウハウに詳しい、専門の獣医の方々から、学ぶことがあれば、その努力を惜しまないで下さい。ワールド・ケロニアン・トラスト(the World Chelonian Trust、頭文字を取って“WCT”)のような会にご参加いただくことに、緊張なさることはありません。WCTのリストに登録なさって、メールでの討論をしてみましょう(訳者注・登録や討論は、やはり英語で行なうことになります)。
www.chelonia.org - World Chelonian Trust
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