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(Translated by Yasunori Tanaka)
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Paula Morris
このケアシートは、この種の一般的な飼育法を述べているにすぎません。皆様が飼育されているのがどんな種や亜種であれ、飼育方法を確立するためには、更なる研究が不可欠です。
パンケーキリクガメは、カメ類の中で、最もユニークな生存の適応方法の一つを有しています。パンケーキリクガメは、丸くアーチ状に盛り上がった背甲の代わりに、平らな甲羅と、軟らかく、蝶番のない腹甲を持ち、骨格には隙き間(穴)があります。他種より骨が少なく、柔軟性の点でも一般種の甲羅に見られる(硬いという)特徴を欠いた状態で、進化してきました。
野生では、“kopjes”と呼ばれる、パンケーキリクガメには身を守りやすい小気候(狭い気候域)に生息しており、それは岩の露出した場所で、奥へ行くほど細くなる、深い裂け目のある場所です。パンケーキリクガメは、関節でしっかりとつながれた四肢を、進化を通して獲得し、それでほとんど垂直な岩肌を登ることができますが、その途中で落ちてしまい、ひっくり返ったとしても、元のように起き上がれます。人工的な飼育環境下で生まれたパンケーキリクガメの子ガメは、日中は隠れていることが多いものの、ほとんど生まれた直後から、成体と変わらない程度に、岩を登るための能力と、そのための脚の関節が見られます。微妙にカーブの入った、そしてとがった爪のおかげで、安全な場所へすぐに避難しやすくなっています。しかし、飼育されているパンケーキリクガメのほとんどは、このような必要がないため、爪が太くなり、その先端は丸まっています。それで、岩に登る機会が適切に与えられていないのであれば、爪を切ることが必要になります。
クリーム色と茶色で、棒状の広がりを持った部分が、放射状に交互に現れる、個性的で独特な背甲の甲板の模様は、食べ物を探したり食べたりしているときに、周囲の色に溶け込みやすくなっています。パンケーキリクガメは驚いたとき、岩場へ文字通り走って逃げます。このカメは、骨格が軽装備のため、リクガメ全種のうち、最も移動するのが速いと考えられています。柔軟性のある腹甲のため、狭い空間に入って、自分自身を押し込め、外敵に襲われても、そこから引っぱり出されることがないようにすることができます。かつてはこのカメは、肺に空気を溜めて自身を膨らませ、引っぱり出されにくくしていると信じられていましたが、現在ではそれに代わって、後脚を外側へ向け、砂を掻き出し、そこに入り込む様子が確認されています。
パンケーキリクガメは、自然界ではアフリカのタンザニアとケニアに生息します。その地域に特有の環境に適応していることから、このカメは自然界での生息域が破壊されること、また人に持ち去られることから、特に脅かされており、パンケーキリクガメはワシントン条約附属書IIに記載されていますが、附属書Iへの記載が切迫しています。
パンケーキリクガメは冬眠をせず、じめじめした湿度の高い状態が絶えず続く環境への適応力はありません。また、寒くてじめじめした屋外環境にも適応していません。もし一年のうち、屋外飼育をなさる期間がおありでしたら、保護となるシェルターを設けて、セラミックヒーターで暖め、カメに取り巻く湿気を発散させなければなりません。そしてカメには冷たく、じめじめした土のあるところへは行かせないようにしてください。土の上で餌を食べているときに、病原菌をも摂取してしまうと、中耳炎を引き起こすことがあります。これは鼓膜のところが腫れるという状態です。そうなると獣医師による手当てが必要になります。他にかかりやすい感染症としては、ウィルス性の口内炎やヘキサミタ(hexamita)(訳者注・原虫の一属)が挙げられます。どうかカメたちが餌を食べているときに、ピンクの、きれいな口の中の組織を観察してください。そして、飼い主の皆様は、においをかいでみてください。糞尿に悪臭があれば、獣医師の方にどうすれば良いのかの決定を、受けられるきっかけになるでしょう。
もし皆様が新しくカメを飼われることになったら、他の(前から飼っている)カメと一緒にする前に、少なくとも6か月間 隔離し、爬虫類に精通している獣医師から、完全な健康診断を受けさせてください。カメ類は、実際は健康でなくても、本当に健康そうに振る舞うものです。病気のカメが一匹いただけで、それまでに飼育されていたカメたちにまで感染し、それらをも死なせてしまうことがあるのです。
パンケーキリクガメの屋内飼育 – パンケーキリクガメは岩に登るのが非常にうまいので、飼育設備を整える際は、内側にへりを向けた状態にするか、または網をかぶせて外へ出られないようにする必要があります。進化によって共同生活の能力が生じ、彼らは小さなグループごとに飼うことができますが、 なるべくなら一匹のオスに、複数のメスを群れで飼うのがいいでしょう。この場合、サイズが全く異なる個体を同居させないようにしましょう。
床材は、新聞紙から、市販の土まで、この乾いた地域に住むカメに沿ったものであれば、何でも良いです。庭などの土と、子供用の砂を混ぜたものは、この用途によく適ったものとなります。吸水性のある砂岩や、中庭で使うような敷石をあちこちに置いておくと、爪やくちばしを適度にすり減らすことができ、カメにとっての感触や歩き心地、そして地形にバラエティーを与えることになります。餌は、細かい土や砂の床材の上に、じかには決して置かないでください。土の場合は特に、そのような与え方をすると、カメの胃腸に蓄積、閉塞を起こし、死ぬことさえあります。砂のないところを別に設け、餌はそこで与えてください。
カビが生えるような、水分が過度に含まれている床材は、何であれ使用しないでください。私は干草を床材として使うことはお勧めしません。なぜなら、干草が湿ると、危険なカビが繁殖することがあるからです。私は自分のパンケーキリクガメ数匹に、新聞紙(簡単に取り替えられるので)を用いていますが、今までうまくいっています。私はシェルターとして、2インチほどの薄い石灰岩を重ね、中庭で使うような薄い敷石を乗せたものを用いており、その上から100ワットのセラミックヒーターを当てています。これにより、上の石の板が暖まり、その熱は下にいるカメに届き、背甲の上部にある肺へとその熱が集中し、腹甲から暖めることなく、その熱はとどまります。私は石の板を、階段ピラミッド形神殿のように組み、その頂上に当たるメインの石版まで、周囲の石のごつごつしたところを通ってカメが登ってこられるようにしています。この種のカメは、屋内、屋外を問わず、垂直方向、つまり高さに差があることを好み、そのような高さの変化を与えてやると、喜んでそういったものに登ろうとするものです。
参考文献を調べると、そのほとんどが、パンケーキリクガメは水をあまり飲まないと述べていますが、私は自分の飼っているこの種のカメが、用意しておいた低い皿に入った水を、水場に入らず外側から飲むだけでなく、水場に好んで入り、そこでフンをするということもよくあり、そのため頻繁な水替えが必要になる、ということをこれまでに見てきました。水の入った皿を置くことで、飼育場全体をじめじめさせることなく、わずかに湿り気が得られます。子ガメは常に、新鮮な水のある場所へ行ける状態でなければなりません。子ガメは水を飲む量も多く、またその頻度も高いものです。その際の水の深さは、橋(訳者注・「きょう」、背甲と腹甲をつなぐ部分)より高くないようにし、それでいてカメが頭を入れて、水が飲めるだけの深さがなければなりません。そして、鼻孔が水面に届くようにしましょう。
屋内飼育では、金物屋にあるような、固定できるクリップと反射板も一緒についたランプを、飼育環境の一角に取り付けて、人工的な甲羅干しの施設を作ってやりましょう。バスキングスポットの温度が35度程度になる位置に調節します。また、屋内飼育では、UVB(中波長紫外線)をカメに与える為に、フルスペクトルの蛍光灯を設置する必要があります。UVBは、ビタミンD3(カルシウムの代謝に必要)の生合成の為に、なくてはなりません。この蛍光灯の代わりに水銀ランプを用いてもいいでしょう。それで甲羅干しの際の熱と、紫外線のどちらの要求にも適います。これは、カメが涼しく、薄暗い場所へ移れるように、どのシェルターとも離れた位置にセットしてください。それでも、最高の成育や健康をお考えであれば、一年のうち、暖かい期間であれば、屋外飼育が望ましいのですが。
屋外飼育 – 外敵の入ってこないようにした飼育環境は、屋内での飼育環境を超えた利点があるので、暖かい時季には飼い方の一つとして真剣に考えてみられてはいかがでしょう。特に、パンケーキリクガメは下草を食べるという習性から、気候が許す限り、できるだけ屋外で飼育しましょう。屋外の、植物がよく手入れされている環境は、餌、シェルター、紫外線が得られ、また自然な行動が発揮できるよう、飼っていらっしゃるカメに、最低限、投資なさる価値はあります。周囲は内側に縁(へり)が向いた状態にして、脱出を防止します。
餌: パンケーキリクガメは草食です。その食べるものは主に、繊維質の多い、様々な種類の草(特にイネ科のもの)で、それが多くの量を占めます。また葉の広い草なども、見つければ食べます。繊維質が多く低タンパク、そしてカルシウムの豊富な餌は、消化器官を丈夫にし、よどみのない成長を促します。スーパーマーケットで売っているような野菜は、繊維分が非常に少なく、農薬が過度に残留していて、また我々人間の食料として売られていることから、糖分が多すぎることが普通です。ですからそのような市販の野菜は与えすぎないようにしましょう。パンケーキリクガメには、肉類ベースのタンパク質を与えてはなりません。この種のカメは、そのようなタンパク質をうまく消化できる能力が備わっておらず、そういうタンパク質を与えると、腎不全か、または尿酸塩が固まり、それが膀胱(ぼうこう)結石となり、死んでしまうものです。パンケーキリクガメは、生えている下草を食べ物としています。飼育環境では、できるだけそのような餌を再現してください。果物類は、月に2回以上与えてはいけません。また与えるにしても、控えめになさってください。私の飼育しているパンケーキリクガメたちには、さいの目に切ったトマトと刻んだリンゴを与えると、望ましくないのですが、喜びます。
最も理想的な餌: 牧草(オオアワガエリ(チモシー)とギョウギシバ(バミューダグラス))。タンポポ、シロツメクサ、ローメインまたは色の濃いレタス、ブドウの葉、そしてクワの葉。オオバコ、ノゲシ、ベッチ(レンゲソウやカラスノエンドウなど)、アジュガ、ラバテラ(ハナアオイ)、そしてタンポポ。オプンチア(ウチワサボテン)の肉質部。そして農薬のかかっていないキンレンカ、ハイビスカス、バラの花。追加的にカルシウムの栄養補助を行なうのは不可欠です。粉末のカルシウム剤は、全ての餌に振りかけて与えることができます。イカの骨も、もしカメがかじりたがるようであれば、与えることをお勧めします。幸い、私は年間のほとんどを、自分のパンケーキリクガメが屋外で飼えるところに住んでいます。私は夏の間、つまりカメが自然の太陽光が浴びれる間は、ビタミンD3なしのカルシウム剤(Osteoform)を与え、冬場、つまりカメが自然なカルシウムの生合成に必要なビタミンD3が作れないときは、それが入っているカルシウム剤(RepCal)を与えています。
注意事項: パンケーキリクガメを、本来の生息地でない場所でうまく飼育するのは、難しいことかもしれません。この種のカメは、理想的でない環境では、呼吸器の問題が生じやすいのです。様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であるということをご認識下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、the World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラスト、www.chelonia.org )で公開していきます。カメをまじめに飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助が受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、the World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。
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