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Chinemys nigricans (カントンクサガメ)の飼育 ― ダレル セネーク
(Translated by Yasunori Tanaka)
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分類学上の学名の遍歴*:
Emys nigricans
GRAY 1834
Clemmys nigricans STRAUCH 1862 (part.)
Damonia nigricans GRAY 1870
Clemmys nigricans - SIEBENROCK 1903
Geoclemys kwangtungensis POPE 1934
Chinemys nigricans FANG 1934
Clemmys kwangtungensis - MELL 1938 (ex errore)
Chinemys kwangtungensis - BOURRET 1941
Chinemys nigricans - IVERSON & MCCORD 1989
Mauremys nigricans - KING & BURKE 1989
Chinemys nigricans - OBST 2003
他の一般的な名前 :
Redneck Pond Turtle
Kwan Tung River Turtle
このケアシートは、カントンクサガメの一般的な飼育方法です。最良の飼育方法を確立する為には、更なる研究が不可欠です。
分類学的に近い種であるクサガメ(リーブスクサガメ)とはしばしば混同されていますが、クサガメとは「少し違うだけだ」とか、「ステロイドを使って大きくしてるんだろう」などと言って問題ともしないことが、多くの人の傾向として、あります。カントンクサガメとクサガメは、飼い方が似ており、カントンクサガメの幼体は、クサガメに似ていることははっきりとしていますが、カメの飼育が趣味の方にとっては、カントンクサガメには注意深く見て、観賞するだけの価値はあります。この種は、ベトナム北部、中国南部、そして海南島、台湾に分布しています。通称の一つのKwangtung River Turtle(カントンクサガメ)は、中国南部の広東省に(も)生息していることに由来します。もう一つの通称名である、Redneck Pond Turtle(訳注 ・ 日本語に訳せば、多分「アカクビクサガメ」となるのだろうが、これに相当する日本での通称はないようだ)は、頚のところが暗い、赤みがかった茶色であるところを表しています。野生では流れのゆるい河川や小川、また池に生息しています。小さいクサガメとは対照的に、カントンクサガメには、メスの個体だと甲長が10インチ(約25 cm)に達することもある大きなものもいて、その辺りでこの、うまく飼育がなされたカントンクサガメの成体が、小さなクサガメとが異なっています。色は、身体全体が濃い茶色で、頚にはかすかに細長い筋があり、腹甲には明るい色をした地に暗い色の点が、まばらに散在しています。カントンクサガメの形状は、特徴的なChinemys(クサガメ属)の箱型の甲羅で、 Trachemys(スライダーガメ属)やChrysemys(ニシキガメ属)のような流線型とは程遠いです。
当初は、アジアの食料市場(しじょう)から輸入された個体群としてしか手に入りませんでしたが、現在ではこのカメは今では欧州と米国の両方で、個人レベルでかなりの個体数の繁殖がなされています。私が強く提案したいのは、野生から捕まえてこられたカントンクサガメは買わないほうがいい、ということです。人工繁殖で生まれた個体は、とても丈夫である一方、捕まえられたり、人に触れられたり、他の種のカメと一緒に収容され、船積みされ、野生で捕まえられた広東省産、また他のアジア産のカメは、そのストレスのため激しい衰弱を伴ったものとなり、結果として獣医師による即座のケアが必要となります。
このケアシートでは、幼体の飼育を第一に扱います。それはカントンクサガメの一生の中で、最も生命の危機が生じやすい時期であり、同時に、その時期の個体を買うことが、一番 一般的だからです。
カントンクサガメの屋内飼育
カントンクサガメは、用語の点でより正確に言えば、「半水棲」のカメです。しかしこの種は、著者の見解では、近縁のクサガメ(リーブスクサガメ)よりも水棲傾向が強いです。子ガメはほとんど完全な水棲であり、水から離れるのはもっぱら甲羅干しのときだけです。飼育環境下では一般に水棲種として扱われ、小さい間は水槽での飼育によく慣れます。カントンクサガメの幼体を屋内で飼育するのに、最も便利なのは、水の浅い水槽、またはプラスチック製の衣装ケースを使う方法です。このカメにとっては、水場が落ち着ける場所なのですが、泳ぎは全く不得手です。そこで私は水深を5
cmかそれ以下にして、子ガメが水の底で「立って」、水面に鼻を出して呼吸することが難なくできるようにすることを提案します。このような飼育が用意されていれば、水槽またはケースの片側に、甲羅干しのできる乾いた場所を用意してやりましょう。これでは水が浅いので、飼育水を濾過させるのが難しく、食べ残した餌が見つからないこともあり、水がすぐに汚れます。水は、このタイプの飼育法では、頻繁に替えなければなりません。
これに代わって私が全ての半水棲、そしてほとんど水棲の子ガメにも飼うのに用いているのは、装飾や彩色などの飾りのない「傾斜タンク(原文slant tank)」を使う方法です。大体60 cmΧ40 cmの衣装ケースで、片方につっかいをつけて、底を傾けます。結果として、最も低いところで5 cmの水深を確保し、もう片方の浅い部分を乾いた陸場になるようにします。飾り付けがないので、頻繁で基本的な飼育場の掃除が、たやすくできます。安全感を与えるために、実際の植物としての水草、または作り物のそれを飼育場に植えることはできるでしょう。しかしこの場合、(作り物でなく)植物としての水草は、与えられていない分の食料の一部になるかもしれません。カントンクサガメが大きくなると、容器のサイズを大きくし、水深も深くさせなければなりません。
カントンクサガメが6 cmかそこらになると、この飼育容器から出して、(「傾斜タンク」や他の容器でなく)水槽に入れて飼うことができるでしょう。その大きさの、一匹のカントンクサガメに対して手ごろな大きさの水槽は、20ガロン水槽、つまり75 cmΧ30 cmの大きさです。カメが成長するにつれて、水槽もまた大きくしなければなりません。このカメの大きさが、6 cmから典型的な成体のサイズである15 cm~25 cmまでの間であれば、水深は20 cmから40 cmまでの間が、ちょうどいいでしょう。
水質は非常に重要です。「傾斜タンク」の水はとても浅いので、濾過器が使えないかもしれません。この場合は頻繁な水替えが欠かせません。カントンクサガメの成体には、私たちは円筒形の外設式の濾過器をお勧めします。それは簡単に掃除ができ、最高の水質が得られるからです。もし池で飼育していらっしゃるなら、それより大きな池用の―特大の―濾過器を使うべきです。魚よりカメのほうが、排泄物の量が多いからです。水棲のカメについてまわる問題の多くは、少しの時間とお金で、環境を整え、適当な濾過器を買えば、防げるのです。
カントンクサガメは、自然下では丸太や岩の上で甲羅干しをしているところを、よく目にします。甲羅干しの場所を用意するために、人工飼育下では、金物屋にあるような、反射板のついた、クリップつきのランプを、飼育環境の乾いているほうの隅に取り付けてやりましょう。これを取り付ける場所は、飼育環境の中の甲羅干しの場所が、32度ぐらいになるように高さを調節してください。カントンクサガメの住まいには、UVB(中波長紫外線)の出るフルスペクトルの蛍光灯も設置しなければなりません。UVBはビタミンD3(カルシウムの代謝に必要)の生合成に不可欠です。もしよければ水銀ランプを用いても構いません。これにより、熱源とUVBの両方の要求に適うでしょう。
餌. カントンクサガメの子ガメは、与えられたいろいろな餌に、すぐに慣れて食べるようになります。それでも与えすぎないように注意してください。私がお勧めするのは、成長の速い子ガメには、毎日か隔日に一度だけの餌やりです。カントンクサガメの子ガメは、非常に肉食傾向が強く、昆虫やイモムシ類、冷凍されたことのある魚を旺盛に食べますが、植物質のものもいくらかは食べるものです。アオウキクサのような水生植物も、喜んで食べるでしょう。カントンクサガメは成長するにつれて、植物質のものを食べる割合がより多くなる傾向があります。こんにち、市場でコイやナマズの餌と同様、カメの餌として売られているものは、クサガメの幼体にもとてもよい餌になります。ヌマガメやリクガメの餌全てに言えることですが、多様性をつけるということを励行すべきでしょう。
追加的なカルシウムの栄養補助は不可欠です。粉末状のカルシウムは、全ての餌に振りかけることができるでしょう。もし屋内飼育の個体ならカルシウムと一緒にビタミンD3も入っているものを、屋外飼育の場合はビタミンD3なしでカルシウムを与えることをお勧めします。イカの骨も、欲しがるのであれば、それを与えて かじらせることもお勧めします。市販のカメの餌を与えていないのであれば、マルチビタミンの追加は欠かせません。脂肪の代謝に不可欠だからです。魚は凍らせると、その過程でビタミンEが破壊されます。この栄養素はカントンクサガメの健康維持に重要な成分です。
屋外での飼育 皆様のカントンクサガメが3インチ、つまり7.5 cmかそこらの大きさになると、外敵の入ってこないようにした屋外飼育には、屋内飼育を超えた、たくさんの利点があるので、選択肢の一つとして真剣に考えてみられてはいかがでしょう。安全な飼育場所に子供用のプールを地面に埋め込んだものは、実用的です。大きめの池に高品質のフィルターをつけると、皆様のカントンクサガメの住まいに壮観な眺めを演出します。冬になると動きが鈍るという「サイクル」のようなものが見られますが、カントンクサガメは完全に冬眠するものだとは知られていません。凍りつくような寒さの地域では、凍らない温度の環境を用意してやらなければなりません。
様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であるということをご認識下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラスト、www.chelonia.org )で公開していきます。カメをまじめに飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助を受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。
References:
*The EMBL Reptile Database http://www.embl-heidelberg.de/~uetz/LivingReptiles.html
www.chelonia.org - World Chelonian Trust
World Chelonian Trust
PO Box 1445
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95696