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スペングラーヤマガメ Geoemyda spengleri (Gmelin 1789) ポーラ  モーリス  及び クリス タバカ  DVM(獣医学者)

(Translated by Yasunori Tanaka)

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スペングラーヤマガメの雌雄の見分け方(英文)クリス タバカ DVM

Black-breasted Leaf Turtle Geoemyda spengleri (Gmelin 1789),  Paula Morris and Chris Tabaka DVM

Geoemyda Gallery


本来の名前: Testudo spengleri  (Gmelin 1789), この種 初の命名による 分類上の名をGeoemyda と変更したのは、Gray in 1834.

英語での通称名: Black-breasted hill turtle, Black-breasted leaf turtle

日本での別名:オナガヤマガメ

このケアシートは一般的な飼育方法です。最良の飼育方法を確立する為には、更なる研究が不可欠です。

 

小さくて、フクロウのような目をしていて、縁甲板(背甲の周囲の甲羅)が著しく鋸歯状になっているスペングラーヤマガメは、アジアのカメの中で、最も人をひきつけ、活気があり、すばしこいものの一種です。そのカメをひっくり返して、最も特徴がよく現れている腹甲を見ると、模様のない暗い色のところに、側面が黄色く縁取られているのがわかります。甲羅はドーム状にならずに平らになっており、前脚、後脚のつま先には、部分的に水かきがついています。メスは、黄色の線が、鼓膜の近くから頚のほうへと伸びていますが、オスはそれほど目立ちません。

 

自然界では、中国南部の広西省(壮族自治区)、広東省、海南省(海南島)からベトナムを通り、スマトラ島、ボルネオ島、また沖縄(Ernst及びBarbourによる)に分布します。この種は専ら陸棲ですが、淡水の川のほとりにいるところも、今までに目撃されてきています。ピーター プリチャード(Peter Pritchard)は、スペングラーヤマガメが、山の斜面の石灰岩が侵食してできた空洞を、ねぐらとして利用しているところを見た経験があると言い、このような小さなほら穴の中に、同様に、卵が産んであるのを見た、という報告をしています。

 

スペングラーヤマガメが野生ではどんな活動をしているのか、についての情報は少ないですが、飼育環境を整えて飼っている何人かの人は、オスにもメスにも、自分のなわばりを主張する傾向が強いと報告しています。ですから、飼育者は、複数のオスをかなり大きめの飼育場で飼うか、または、一匹から数匹のメスを、オスと一緒にしないで飼うか、のどちらかになります。それらが複数になると、行動は微妙に、しかし強力になり、群れの中で弱いオス(或いはメスの場合さえある)は、餌を食べたり水を飲んだりすることをやめてしまう場合もあり、最終的には周りの個体から受ける威圧感のため、死んでしまうこともあります。いつもそうなのですが、ストレスというのは軽く見られがちです。しかしどんなカメでも、飼育場所を作るとき、ストレスについては、考慮すべき重要なことになります。

 

もし皆様がスペングラーヤマガメの新しい個体を手に入れられたなら、他の個体と一緒に飼育する前に、最低6か月は隔離して飼育し、その際、爬虫類に詳しい獣医師に、全身の健康検査をしてもらってください。カメ類は、健康でなくても、一見いかにも健康そうに見えることがよくあります。そして一匹が病気であれば、皆様のカメにもそれが感染して、死なせてしまうこともあるのです。インターネットや専門書に載っている薬の用法や投与などの情報は、しばしば時代遅れであり、潜在的に危険であることを、どうかご注意下さい。薬のことは、専門家にお任せになってください。

 

もしスペングラーヤマガメの野生個体を購入されたのであれば、虫眼鏡でダニがいないか、必ず調べてください。もしいれば、ワセリンをつけた綿棒でそのダニに塗り、数分経ってから、それをピンセットで取り除いてください。

 

スペングラーヤマガメの屋内飼育 スペングラーヤマガメは、斜面を登るのもうまいので、内側を縁(へり)状にするか、登って出て行くのを避けるためにメッシュやネットを張っておくかのどちらかにする必要があるでしょう。巣箱などシェルターや岩、植物の植え込みを囲いの内側に沿って、置いたり植えたりするのを避けてください。スペングラーヤマガメは、それらのようなものさえ利用することがあるのです! しかし皆様のスペングラーヤマガメが、活発で、退屈させない状態にするため、飼育場にはいろいろな高さがあるようにしてやりましょう。

 

いくつかの参考文献によると、スペングラーヤマガメは、水に入るのを好まないとありますが、それとは反対に、私ともう一人が飼育したところ、しばらくの間 水に入って、本当に楽しそうだったのを見ています。更に、このカメには なわばり意識が備わっているので、囲いで飼われているカメが複数であれば、私(このページの著者、以下同じ)はカメの匹数より更に一つ多く、水浴びのできる皿を用意しておくことをお勧めします。ある動物園では、ボス的存在のメスを、一時的に他の場所へ移動させなければならないのです。それはその飼育施設に水場が一つしかなく(人工の滝の下のプールだけ)、そのボス的なメスがいなくなったことで、他のカメがその水場に来て、水を飲んだり身体を浸したりできるようになるのです。プラスチック製のラバーメイド®のサンドイッチ入れ(訳者注 弁当箱のようなものです)のような小さなものであっても、それらのカメが一匹ごとに、安心して身体を浸し、水浴びができるようであれば、喜ばしいことです。私は、自分の飼っているスペングラーヤマガメの、各グループのボス的な個体が、みんなのお気に入りの水入れに、他の個体が来ると、追い出そうとするのを見てきました。小さくてもたくさんの水場を用意した上、共用できる大きな水入れを一つ入れておくと、どのカメも脱水症状を起こすことなく、このことはこの種のカメに、特に重要なことです。

 

植物、岩、シェルターなどで「ビスタ(訳者注 ここでは「細い道」の意味)」を作ることにより、飼育場を区切ると、それぞれのカメに他の個体からのなわばりの圧迫から逃れて、安心に思えるきっかけを与えられるでしょう。また、高低差をつけることにより、カメにとっても面白く感じられ、また爪をとぐきっかけを与えることにもなるでしょう。オスは「見張り」を、それができる最も高いところでやりたがるものです。ボス的なメスも、同じかもしれません。皆様の飼っていらっしゃるスペングラーヤマガメも、際立って高い部分を設けてやると、とても喜ぶことでしょう。

 

私が設けているシェルターは、赤土の素焼きの屋根タイルにしています(写真をご覧ください)。これらのシェルターは、飼育槽の各面に沿って置くことが出来るでしょう。また、部分的に床材の、混ぜ物のない植木用の土(パーライトやバーミキュライトではなく)と、ラン栽培用の樹皮材で隠すようにします。屋根がわらを三つに割り、まず二枚を並べ、隙間を床材で埋めた後、残りの一枚を屋根にすることができるでしょう。ブドウの木を植えておくと、隠れられる場所も増え、感じの良い緑の葉を観賞することができます。

 

スペングラーヤマガメ(その目はフクロウのようです)は、穏やかな光を好むものです。そして温度が暖かくなりすぎるのを嫌がります。そこで、この種のカメの飼育場所の中に、暗く、涼しい場所を用意し、そこへ隠れられる場所がなければなりません。スペングラーヤマガメは、華氏6880度(摂氏2027度)の間であれば、大丈夫です。その飼育場の水入れがあれば、湿り気もそこから補えるでしょう。また植木用の霧吹きで、一日に二、三回、霧吹きをすることによっても、湿度を上げてやることができます。しかし、このカメは、甲羅干しのための熱も、少しですが好みます。そこで、体温調節のために、日中に用いる甲羅干し用のランプは、ワット数の小さい40ワットのものを用意してやります。

 

皆様のスペングラーヤマガメに、様々な無脊椎動物、特に地面を這う夜行性の虫などを与えると、いつでもきっと喜ぶことでしょう。この種のカメは、何であれ動くものを捕まえるのを好みます。カタツムリや、粉末カルシウムを振りかけたコオロギも、お気に入りの餌です。ミールワームは、控えめに与えましょう。この虫にはそれほど栄養がなく、キチン質でできた外骨格が、カメの腸に詰まる恐れがあるからです。

 

私は、スペングラーヤマガメの何匹かの一群を、3年飼育しており、現在は果物や野菜も与えられるようになりました。そのカメたちは、イチゴや赤ブドウ、プラム、トマトなど、特に赤い色の果物を、えり好みします。しかし私はどうにかして、細かくつぶしたルビー・ヤム(サツマイモのことのようです)や、さいの目に切ったキュウリ、細かく切ったズッキーニに、粉末カルシウム剤、ビタミン剤、そして細かく切ったカモガヤ(繊維質)を、混ぜて、そっとスペングラーヤマガメの飼育場所に置いてみると、そのカメもそれを好んで食べています。生き餌を与えつつ、様々な果物や、刻んだ野菜を追加的に与え、そして辛抱強くそれを続けましょう。最終的には皆様のスペングラーヤマガメも、赤い色をした餌ばかりを食べたがるという癖から抜けられることでしょう。

 

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医療と健康

スペングラーヤマガメの主要な病理は、赤痢アメーバにかかると、二次感染として敗血症にかかり、それが原因で死亡するということです。一旦スペングラーヤマガメの病状が悪化すると、ほとんど助からないのですが、それでも非常に丈夫なもので、たとえその器官に回復の見込みがなくても、耐え続けるのです。検死結果から、腫れ物による肝機能障害なしで、以前から知られていた、敗血症を患っている様子が見られることも、珍しくありません。

メトロニダゾール(訳者注 抗原虫薬。一般名「フラジール」。赤痢アメーバは原虫の一種)の投与は、アジアのカメ取引の市場(しじょう)から回ってきた個体では、極めて重要なものとなります。陸棲のカメは、赤痢アメーバに感染した水棲の種類と一緒に収容され、船積みがなされています。このことにより、抵抗力の非常に弱い陸棲種もそれにかかり、胃や腸の粘膜が傷つき、侵食されることになるのです。これらが侵されることにより、バクテリアが血管の中に入り込み、肝臓や肺、腎臓に膿瘍(のうよう)ができ、そして死亡します。ご注意いただきたいことがあります 投薬はどんなものであっても、その資格のある獣医師のご指導のもとで行なってください。

スペングラーヤマガメは、オスのほうがメスよりも弱いです。

甲羅の病変は、スペングラーヤマガメにはかなり普通に見られます。甲羅の病変の多くは、かなり高い温度下で現れます。一方、低温下(華氏6872度、摂氏2022.2度、バスキングエリアを除く)では、それらが現れることは珍しいです。この種のカメは、このようなタイプの(自然界に比べると微小ながらも、そのような)生息場所で、丈夫に生きていきます。

 

様々なカメの飼育の研究が、まだまだ進行中であることに注意して下さい。新しい情報が手に入れば、我々はその情報を、World Chelonian Trust(ワールド・ケロニアン・トラスト、www.chelonia.org)で公開していきます。カメを真剣に飼育している人は、同じ種類のカメを飼育している他の人からの援助を受けられることが、役立つものであることに気づかれています。飼育については、我々のメールコミュニティー(英語)で討論できます。そしてそれに参加するには上記アドレスからアクセスして下さい。どうか我々と連絡を取り、World Chelonian Trustのメンバーになられて多くの益を得て下さい。

 

 


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